コンテンツマーケティングの評価方法~因子分析をやってみた~

今回は、コンテンツマーケティングの評価方法についての研究を公開したいと思います。

WEBマーケ指標では評価が難しいコンテンツマーケティング

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改めて振り返っておきます。

コンテンツマーケティングとは、ユーザーのニーズに応えるような価値あるコンテンツ(記事や動画など)を提供し続けることで、ユーザーを引き寄せ、良好な関係性を維持しながら欲しい気持ちを少しずつ高め、その先にある購買行動に繋げる手法を指します。

簡単に聞こえますが、多くの企業がコンテンツマーケティングに挑戦し、そして、その難易度の高さに悲鳴を上げているのではないでしょうか。

その理由として、「評価の難しさ」があげられます。

ユーザーとの出会いから、成長の過程、そして購入まで、まるで「時をかける少女」のような甘酸っぱい夏の思い出を彷彿とさせる ”体験” そのものが手法とされます。ですので、多面相のコンテンツマーケティングの一表面のみを切り取って評価をすることが適切とは思えません。なぜユーザーが矛盾する行動を取るのか、一面だけではわからないからです。

一方で、現在のWEBマーケティングにあるPV数や新規SU数、CV数、離脱率、直帰率、再訪率、滞在時間、他、さまざまな指標で評価しようにも、数が多すぎて妥当とは思えません。数十ある指標を全て網羅しても、見る人間が判断できなければ何の意味もありません。

しかし、良かったのか悪かったのか判断持ち越しなのか、評価できなければ改善のしようもありません。改善しないのなら計測する意味がないからです。

多面的なコンテンツマーケティングを、できるだけシンプルな指標で評価することができないか? そのことに多くのマーケターが頭を抱えています。

では、そんなことが簡単にできるのでしょうか。

できるんです。

そう、因子分析ならね。

 

「因子分析」とは何か?

 

因子分析とは、簡単に言えば”複数個の「結果」から、目に見えない少数個の「原因」を浮かび上がらせる分析手法”です。

多変量解析の中でもかなりポピュラーな分析手法で、心理学関連の雑誌には因子分析を用いた論文がよく掲載されています。

 

例で説明していきます。

ある清涼飲料水メーカーが500人にアンケートをとって、夏の新商品ドリンクのコンセプト作りをしたとします。

「夏は炭酸に限る」「あったかい飲み物が欲しい」「水分補給で乾きを補う」などの質問に0点から5点の範囲で答えた500人分の結果を因子分析してみたとします。

因子分析では、こうした質問の回答は「因子の影響を受けた結果の数値」と見なして、その原因そのものである因子を数値化します。

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分析の結果、500人には「喉の乾きを潤したい」「身体に良いものを摂りたい」という「因子」があって、人それぞれ違うその「因子」の強さが、そのまま回答結果につながっていることが分かりました。

あとは人の違いが性別なのか職業なのかクラスタ分析を行ったり、「喉の乾きを潤したい」と感じている人が商品を本当に買ってくれるのか回帰分析を行ったり、実利に繋げるための分析が行われます。

そこで同様に、コンテンツマーケティングの結果も因子分析を行ってみたいと思います。なぜなら、「評価の難しさ」をある程度カバーできるメリットがあるからです。

  • PV数や新規SU数など、あらゆる指標を少数個に集約できる

⇒できるだけシンプルな指標で評価できる

  • 指標の数値を、コンテンツを見ているユーザー群の「結果」と見なして、本来の「原因」を可視化できる

⇒矛盾する行動を「原因」の観点から評価できる

 

今回はAll Aboutの幾つかのコンテンツをピックアップして、因子分析を行いました。

 

「因子分析」をやってみた

対象とするコンテンツ、期間、指標は以下の通りです。

<対象コンテンツ:6領域、13チャネル、28コンテンツ>

領域 チャネル コンテンツ名
ビューティ スキンケア BS1、BS2、BS3
ビューティ ダイエット BD1、BD2
マネー 退職金・老後のお金 MT1、MT2
マネー 保険 MH1、MH2
メンズスタイル メンズビューティ MM1、MM2
健康・医療 健康管理 KIK1、KIK2、KIK3
健康・医療 治療・介護 KIT1、KIT2
健康・医療 症状・病気 KIS1、KIS2
暮らし 育児・赤ちゃん KI1、KI2
暮らし 冠婚葬祭 KK1、KK2
暮らし 子育て・キッズ KKK1、KKK2
暮らし 料理レシピ KR1、KR2
恋愛・結婚 恋愛 RR1、RR2

<分析期間>

2016年05月21日(土)~2016年07月08日(金)

<指標>

計測ツールでのメトリクスのうち、最終的に以下8個を採択しました。またデータは日単位(49日分)かつデバイス単位(PC/SP)であります。

1.PV数

2.SU数

3.平均滞在時間

4.閲覧開始数

5.直帰率

6.離脱率

7.読了率(50%時点)

8.読了率(100%時点)

 

因子分析は、統計分析フリーソフト「R」を使って行います。無償・有償問わず様々なツールがあると思いますので、そこは皆様の合った環境で使われれば良いかと思います。

分析の結果、因子は3つあると思われることが分かりました。それぞれ、以下の通りです。

 

<PV数、SU数、閲覧開始数の因子負荷量が強い第1因子>

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<読了率の因子負荷量が強い第2因子>

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<直帰率、離脱率の因子負荷量が強い第3因子>

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8つあった指標が、3つに縮約されました。

内容を見るに、この指標同士はくっ付くだろうなと思っていたものが纏まったので腹落ち感はあるものの、意外性には欠ける結果となりました。

発見された3つの因子には、それぞれキニナル、ヨンデル、モウイイという名前を付けました。これは「第1因子」では覚え辛いからです。因子分析をして発見した因子には、分析者が独自の名前を付けることが多いです。

それぞれユーザーの心のバロメータを表す指標だと思って、進めることにします。

因子分析から、日・コンテンツ毎に3因子の因子得点が分かっているので、この結果を集計していきます。簡単に言うと、因子得点が高いコンテンツはその因子の影響を強く受けています。

 

まずはチャネル単位に集計してみました。分かりやすいよう偏差値に置きなおしています。

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さらに、この結果を散布図に置換します。

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モウイイについては、そのままにすると偏差値が高いほど離脱率・直帰率と高まるという、散布図に置くと直感的に違和感を覚えることになるので、計算式を加工して、偏差値が高いほど離脱率・直帰率が低くなるようになっています。

この結果は、あくまで13チャネル28コンテンツの相対比較でしかないので、全てのコンテンツを含めるとまた違う結果になると思います。

 

さて、散布図の2軸を4分割して、それぞれ「良質」「大衆」「ニッチ」「ニーズ見直し」にカテゴライズしてみました。「良質」に位置するチャネルは3つ、そのうちヨンデル因子も標準以上なのは「退職金・老後のお金」「育児・赤ちゃん」でした。

どちらもこの先生きていくうえで必要な情報が書かれているのと、経験したことが無い人にとって不安でしかない情報を纏めているので、みんな読んでいるのかな?と思います。「料理レシピ」チャネルが相対的に低い理由にもなりそうです。

こうして2軸に置きなおすと、まずどのチャネルから改善すべきか整理がつきますね。これはチャネル単位になっていますが、コンテンツ単位、曜日単位でも表現可能です。

 

コンテンツ単位では?デバイスによる違いは?

デバイスの違いや、チャネルの中のコンテンツの傾向の違いを無視しているので、今度はデバイス別かつコンテンツ別の結果を見てみましょう。いくつかのチャネルから抽出してみました。

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良質と見なせていた「育児・赤ちゃん」チャネルですが、デバイス別に見るとキニナル、ヨンデル両因子の傾向が違うことがわかります。

実はSPデバイスでキニナル人が多くて、PCデバイスは標準以下だったのですね。ですが、ヨンデル人はPCデバイスのほうが多い…。

もう少し深堀りしてみます。コンテンツ名KI1について、3因子同士のデバイス毎の日ごとの値を相関図に落としてみました。(この結果は偏差値置換前なのでモウイイ因子高い=直帰率・離脱率高い、を表しています)

 

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SPデバイスでのキニナル因子とモウイイ因子にかなり高い正の相関が見られます。詳細を確認するとキニナル因子が高いときは、モウイイ因子も高いことがわかりました。

気になっている人が多いのに、もういいと言っている人も多い。これって「PV数増えても回遊率低い問題」でもあり「流入数多いけど最後まで読まず離脱する問題」ですね。実際、ヨンデル因子も散布図で見る限り低いです。

となると手放しで「育児・赤ちゃん」チャネルを見届けるわけにもいかなさそうです。SPデバイスの低読了率・高離脱率を解決すれば、さらなる良質コンテンツに成長する可能性があります

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今回の3因子に関して言えば、コンテンツそれぞれで関係性を読み解き、上記のような改善カテゴリに当てはめられそうです。

 

今後の改善策、対応について

今回は評価が難しいコンテンツマーケティングに対して、(動的)因子分析という手法を用いて比較的容易に評価する方法の研究内容を公開しました。

今後の課題としては、量・期間が増えたとしても同程度の品質を担保できるのか?今回の手法は半年に1回程度の分析で十分だが短期間での評価方法は無いのか?などでしょうか。

別次元の観点では、コンテンツそのものを自然言語処理で情報量を圧縮し、ユーザーとの相性を探るなども行っても良いかもしれません。

データサイエンスはあくまで課題を解決するための手段です。その手段の種類について、適時、このサイトで公開させていただきます。

【著者】
マーケティングメトリックス研究所
松本

 

 

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